最近思うこと

橋梁模型コンテスト

 

 1月11日、第7回高校生橋梁(きょうりょう)模型コンテストが高知工業高校であった。審査は、模型強度、強度を質量で割って求める軽量指数、デザイン性を総合的に評価する。強度は2回の載荷試験で決める。載荷するのは製作者が事前に申告した荷重である。模型が1分間持ちこたえられれば、その荷重が認定される。最高強度は、一昨年が30キロ,昨年が31キロ、今年は43キロ。先輩の経験が後輩に引き継がれ、創意工夫することで記録が塗り替えられている。

 優勝は強度40キロの京都,伏見工業の南出さんの作品に決まった。アーチ橋であった。接着剤を使用せず部材を接合するという驚くべきアイディアがあった。高知工業の山崎君と吉田君の共同作品は、50キロの荷重にしばらく耐えたが1分間持ちこたえられなかった。49キロでトライすれば大記録を樹立できた可能性がある。残念であった。

 今年の作品は、実務者では思いもよらないユニークなデザイン性に優れた作品があった。若い人は頭が柔軟である。既成観念にとらわれることなく自由な発想ができる。このような若者が力を発揮できる環境を作ってやれば、高知県の将来は明るくなると思った。

  高知新聞「声ひろば」2014.1.18(土)

 

神様にほめられる生き方

  

 11月3日と4日の連休を利用して奈良の世界遺産巡りをしてきた。 春日大社権宮司の岡本彰夫さんが書かれた「日本人だけが知っている神様にほめられる生き方」を読んで行きたくなったのである。

  東大寺、薬師寺、法隆寺、金剛力士像、千手観音菩薩像、阿修羅像などを見た。宮大工や仏師の神業とも思える技術のすごさ、そして職人としての誇りと使命感を感じた。

  その夕方、奈良万葉若草の宿三笠のメニュー偽装を知った。ミシュランガイドにも紹介されているあの高級旅館三笠である。この日の観光コースの最後が若草山頂であり、旅館三笠の横を通って山頂に登った。このような高級旅館に一度泊まってみたいものだと家内と話していただけに余計にショックが大きかった。

  台湾人がよく使う言葉に日本精神がある。「嘘をつかない」「不正なお金は受け取らない」「失敗しても他人のせいにしない」「与えられた仕事に最善を尽くす」を意味している。日本には日本精神がなくなってしまったのだろうか。神様にほめられる生き方は忘れられてしまったのだろうか。他人をだますことはできても自分をだますことはできない。

 高知新聞「声ひろば」2013.11.12(火)

ついでで行けない高知

 

 県は,「わざわざ行こう!志国高知へ」というキャッチコピーで観光客の誘致に力を入れている。このキャッチコピーを意識させられる出来事が何度かあった。

 最近,公共事業で使用する技術基準書を執筆されたU氏に,研修会の講師として高知へ来ていただいた。U氏は大手建設コンサルタント会社に勤務しており,仕事で全国を回っておられる。松山や高松には何度も行っているが,高知だけは初めてということであった。

 昨年の3月,日本技術士会の本部長会議が高知であった。「全国で唯一,足を踏み入れたことがない高知に行きたい」という会長の強い希望で会場が決められたのである。同行されていた副会長からも高知は初めてと聞き,驚いた。

 昨年の10月には作家の江上剛氏の講演を聴く機会があった。冒頭の挨拶で,「四国には何度も来ているが高知は初めて」と言われた。

 高知は観光地として魅力がある。しかし,仕事をしていると,観光旅行する時間はなかなかとれない。仕事に行ったついでに観光する以外にないが,大きな企業がない高知を訪れる機会は少ないのだろう。「わざわざ」でなければ,高知には行けないのである。

高知新聞「声ひろば」2013.4.30(火)

若者の雇用問題

 

 今年,成人式を迎えたのは全国で122万人。最も多かった昭和45年の246万人に対して半数を初めて下回った。

 セイコーホールディングスが新成人に行ったアンケート調査で,自分の将来に不安を感じるか質問したところ,「感じる」「多少は感じる」が90%にのぼり,「就職難・雇用不安」を理由として挙げた人が圧倒的に多かったと報じられていた。

 リクルートワークス研究所の調査によると,民間企業への就職を希望する大卒者は,近年は毎年45万人で横ばい状態にある。しかし,求人数は平成20年に93万人(求人倍率2.14倍)であったものが平成25年には55万人(求人倍率1.27倍)まで落ち込んでいる。

 建設業は現在人手不足である。東日本大震災の復旧復興,南海トラフ巨大地震対策などで公共事業が大幅に増えているためである。調査測量設計を行うわれわれの業界では,昨年から猫の手も借りたいほど多忙である。働く意欲のある若者は,国民が安全安心に暮らすことができる「強靱(きょうじん)な国土形成」の仕事に携わっていただきたいものである。

 現在の若者は安定志向が強く,公務員や大企業を志望する人が多い。地方の中小企業でも安心して働ける仕組みを国の施策としてつくることができれば,安倍政権が目標としている雇用拡大とデフレ不況からの脱却が一気に実現すると思う。

高知新聞「声ひろば」2013.1.25(金)