早川徳次

五つの分配

第一に社員に分配する→給与、福利厚生

第二に株主に分配する→配当金

第三に仕入れ先に分配する→優遇策

第四に販売店に分配する→優遇策

第五にお客さんに分配する→満足して貰える商品を買って貰う

事業の成功、不成功

事業の成功、不成功は、仕事を不平なく楽しんで、うまず、たゆまず(飽きたり気をゆるめたりせず)研究努力してやっていくうちに、自然と時代や社会から要求されるものを生み出すときに決まる。

コマが廻っている間は倒れないように、働き、工夫し、進むものにていつかは輝かしい栄光が微笑みかけるのである。

そして事業の成功には良き人との誠の心のつながりを多くもっていることも重要な条件の一つと信じている。良き人は決して悪いことをもってはこないものだ。

"あきない"のよろこび

事業のよろこびは、またチャンスが不断にやってくるということであろう。そのためには、受け入れ態勢をとって常に用意を怠らぬ心がけがいる。

信用、資本、人材の蓄積はこのチャンスを受け入れるための一態勢だと考えている。「治にいて乱を忘れず」

五つの蓄積

チャンスは誰にでもあるものである。せっかくチャンスが来ていてもそれを受け入れる態勢ができていないために逃がしてしまうのである。

受け入れ態勢とは、五つの蓄積だと考えている。

①信用の蓄積

  無形財産。信用の根本をなすものは誠実。

  人生の幸・不幸の分かれ道は信用があるかないか、良き人との誠の心のつながりを多くもっているかどうかである。

②資本の蓄積

③奉仕の蓄積

  世の中に感謝してお返しをすること。

④人材の蓄積

  まず自身が人材たらんことを期さねばならない。

  人を使うというよりも共に仕事をする。仕事をしてもらうという気持ち。

  人材を蓄積するためには現在働いてもらっている人を離さないで、育成してつくっていくこと。

  一人人材を得れば次々に良き人との繋がりが開け、期せずして類は友を呼び多数の優れた人が自然と集まる。

⑤取引先の蓄積

先ず己を正す

「勇将の下に弱卒なし」という諺がある。大将が秀でていれば、部下に弱虫は一人もいなくなる。

まず経営者たる自分が燃えなければ、社員の心に火を付けることは難しい。

己の人間すら作れないで何で他人をこちらになびかせることができようか。


いい人材を多く蓄積している会社は必ず伸びていくものである。